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大学Chapter 3014

統計力学(ボルツマン)

10²³個の粒子を一個一個追わなくていい。確率と統計で熱力学を原子論から導く——ボルツマンの偉大な洞察。

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10²³個の粒子を追わなくていい理由

1 mol の気体には約 6×10236 \times 10^{23} 個の分子がある。

一個一個の運動方程式を解くのは不可能だ。しかし統計的性質ならば記述できる——これがボルツマンの洞察。

📜ボルツマン(1877年)

ルートヴィヒ・ボルツマンがエントロピーを原子の配置の「場合の数」として定義した。当時の物理学界は原子の存在を信じておらず、激しい批判にさらされた。1906年に自ら命を絶ったが、その後アインシュタインのブラウン運動の研究が原子論を確立した。

エントロピーの統計的定義

ボルツマンのエントロピー

S=kBlnWS = k_B \ln W

  • kB=1.38×1023k_B = 1.38 \times 10^{-23} J/K(ボルツマン定数)
  • WW:系のミクロな状態数(場合の数)

ボルツマンの墓碑にはこの式が刻まれている。

エントロピーの直感

散らかった状態 → 場合の数 WW が大きい → SS が大きい。

自然は「場合の数が増える方向」に変化する。

ボルツマン分布

温度 TT の熱浴に接した系では、エネルギー EiE_i の状態が実現する確率は:

ボルツマン因子

Pi=eEi/kBTZ,Z=ieEi/kBTP_i = \frac{e^{-E_i/k_BT}}{Z}, \quad Z = \sum_i e^{-E_i/k_BT}

ZZ:分配関数(全状態の重みの和)

分配関数からすべてが導ける

分配関数 Z の重要性

F=kBTlnZ(ヘルムホルツ自由エネルギー)F = -k_BT \ln Z \quad \text{(ヘルムホルツ自由エネルギー)}

E=lnZβ,β=1kBT\langle E \rangle = -\frac{\partial \ln Z}{\partial \beta}, \quad \beta = \frac{1}{k_BT}

分配関数さえ計算できれば熱力学量がすべて導ける。

理想気体への応用

単原子理想気体(3次元)の分配関数を計算すると:

E=32kBT (1粒子)\langle E \rangle = \frac{3}{2}k_BT \ \text{(1粒子)}

これが実験で観測される 32RT\frac{3}{2}RT(1 mol)と一致する。

📝エネルギー等分配則

各自由度に 12kBT\frac{1}{2}k_BT のエネルギーが等分配される。並進3、回転2の二原子分子では E=52kBT\langle E \rangle = \frac{5}{2}k_BT

🌍現代への応用

統計力学は半導体(フェルミ・ディラック統計)・超流動・ブラックホール熱力学・機械学習のボルツマンマシンまで幅広く使われる。

熱力学第2法則の起源

時間の矢

ミクロな法則(ニュートン力学・量子力学)は時間反転対称。なのになぜ卵は元に戻らないのか?

統計力学の答え:WW が大きい状態(乱雑な状態)への変化は圧倒的に「場合の数」が多い。逆向きは起こりえないほど確率が低いだけ。

// quiz

確認問題

Q1.ボルツマンのエントロピーの式はどれか?

Q2.ボルツマン分布でエネルギーEの状態が占められる確率に比例する量はどれか?

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固体物理・バンド理論

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